征旅せいりょ)” の例文
世変転化は、落花とともに行く春の移りも早く、甲州の山野は信長の領下に染められ、右府信長の征旅せいりょは日程のとおりすすんだ。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
敵国深くへはいった信長の、征旅せいりょの苦境を知ると、果然その妹聟は、ほこさかしまにして、信長の背後をおびやかし、織田軍をして、あの退敗を余儀なくさせたのである。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
征旅せいりょ五年にわたる中国陣では、多くの敵産もているが、より以上莫大な数字にのぼる軍費をつかっている。そうそう無限に安土からそれを仰ぐのも秀吉の本意でない。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これも、刻々甲州在陣中から、報告は手にしていたが、二月九日以来、征旅せいりょまさに七十日、そのあいだの状勢の推移は、信長の予測をやや裏切って、どうも捗々はかばかしくない感がある。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)