往来とおり)” の例文
旧字:往來
逃げ出すんだ……なんでもいいから俺の云う通りにしなさい。往来とおりに自動車が待たしてあるから、それに乗るんだよ、大急ぎ大急ぎ……
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
言いすてると浪人は主税へ背を向け、夕陽が消えて宵が迫っているのに、なおも人通りの多い往来とおりを、本所の方へ歩いて行った。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
二人の武士が下谷の往来とおりを、批評がましく噂しながら通る、片腹痛く存じましたので、前へ廻って笑ってやりましたところ、後を尾行けて参りました。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
神道無念流の大剣豪、戸ヶ崎熊太郎が内門弟の一人、平松清三郎を供に連れて、下谷の往来とおりを歩いていた。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
さてその日も、ご飯を頂戴いたしましたので、台所口から出て、へいに添って往来とおりの方へ歩いて行きました。
怪しの者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
で、左右を海鼠なまこ壁によって、高く仕切られているこの往来とおりには、真珠色の春の夜の靄と、それをして射している月光とが、しめやかに充ちているばかりであった。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
往来とおりの真ん中へ足を止どめ、胴顫いする心持ちで、もう一度あたりを見廻してみた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
京助は往来とおりを走っている。
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)