弁慶蟹べんけいがに)” の例文
まるで弁慶蟹べんけいがにのように真赤な顔をし、帽子もネクタイもどこかへ飛んでしまって、袖のほころびた上衣を、何の意味でか裏返しに着て
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
赤い弁慶蟹べんけいがにが一匹、悠々、橋の上を横にあるいている。外濠そとぼりの水は、ぶつぶつ沸き立って、午過ぎから日盛りの間の一ときは、呉服橋の往来も暫く休みのようなすがたになる。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ちょっと待って弁慶蟹べんけいがにを踏みつけそうで歩けやしませんわ」
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「ねえおまっちゃん、弁慶蟹べんけいがにね、なにを食べてるだろう。」
石垣の隙間からは弁慶蟹べんけいがにがよくはさみを出した。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
山木も河合も、弁慶蟹べんけいがにのように顔を真赤にして、はずかしさにやっとたえていた。穴があれば入りたいとは、このことだ。
火星探険 (新字新仮名) / 海野十三(著)