店屋てんや)” の例文
両側の店屋てんやはどこも大戸をおろしているので、いざという場合にも駈け込むところがない。かれはそこに立竦たちすくんでしまった。
異妖編 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
村の店屋てんや駄菓子だがし店、小あきない等は、或いは寡婦等を自立せしめる一便法のごとく、考えられていたかとも思われるが、その影響は存外に大きなものがあった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
職人ふぜいで毎日めえにち店屋てんやの料理なんぞを喰っちアばちがあたるア、貰った物にしろ毎日こんな物を喰っちア口がおごって来て、まずい物が喰えなくなるから、実ア有がた迷惑だ
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ここの家でもこころよく承知して、勘次郎を庭口から奥へ案内した。百姓家とも付かず、店屋てんやとも付かないうちで、表には腰高こしだかの障子をしめてあった。
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しかし是はもと神社仏閣などの周囲か、そうでなければ街道往還かいどうおうかんはたに限られ、村で飲むべき日または場処ばしょ以外に、いつでも酒が茶のように飲めることになったのは、村々の店屋てんやが元であった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)