幼稚おさな)” の例文
「与一が幼稚おさな時に人から聞いておりまする。左様さよう思うて、きょうも小母様を斬りました。この家の名折れと承わりましたゆえ」
名君忠之 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
節は平家、曲は「小督こごう」、声も音も未だ幼稚おさなく、人に聞かせて金を得るほどの、えもたくみもなかったがいつまでも立ち去ろうとはしなかった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
家には妻いぎたなく昼寐ひるねの夢まだ覚めやらず、ふところにも背にも幼稚おさなき子ら二人ばかりも横竪に並臥なみふしたり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
小児こどもたち、幼稚おさないのは、もり、乳母など、一群ひとむれに、今日は別荘に残った次第。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)