干飯ほしい)” の例文
猪の焙肉あぶりにくや、薄焼や、干飯ほしいやかち栗、乾した杏子あんずなど、それぞれの包みを中に入れて巻き、それを背負えるようにしっかりとくくった。
彼は、母の菊女の菩提寺ぼだいじへ逃げた。今戸の称福寺である。暗い蜘蛛くもの巣の中に、息をころして、七日あまり、干飯ほしいをかんで、潜伏していた。
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昼飯ひるめしをカレイというのは枯れたいい、すなわち干飯ほしいを持って歩いたからである。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
飯櫃ひつや釜底の御飯つぶを流し元ですくった物が、ていねいに目ザルに並べられ、白い干飯ほしいとして干し上げて保存してゆく習慣のあることが軒毎によく見られた。
「腰に干飯ほしいを持ち、ひそかに、二日二た晩、評定所の床下に這い込みまいて……」
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
干飯ほしいを持って、評定所の床下へ忍ぶという彼の突飛に似た行動は、その後だった。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、弁円は、干飯ほしいを噛みながらも、そこを去らなかった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)