布晒ぬのざら)” の例文
雪は在来の布晒ぬのざらしで、別に変わったこともなかったが、月は『平家物語』の仲国、花は謡曲の「高野物狂こうやものぐるい」で、いずれも桜痴居士の新作である。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
貧民窟といわれた通新町とおりしんまちを過ぎ、吉原堤よしわらづつみにかかりますと、土手際に索麺屋そうめんやがあって、一面に掛け連ねた索麺が布晒ぬのざらしのように風になびいているのを珍しく思いました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)