市尹しいん)” の例文
臨安の市尹しいんは後に尚書しょうしょとなった趙という人で、名奉行のきこえ高い才子であったが、何分にも証拠がないので裁くことが出来ない。
自来也の話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
大雨を降らすも、炎日のつづくも、すべて自然の現象で、人間業にんげんわざで左右されるものではない。汝ら諸民の上に立つ武将たり市尹しいんたりしながら、なんたる醜状か。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あとには酒肴さわに残りおれるを幸吉あくまで飲くいして(中略)——後にこの事あらわれ市尹しいんの庁によび出され、人のせぬ事をするはなぐさみといえども、一つの罪なりとて両翼をとりあげ
天保の飛行術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
だから誰よりもおまえの心に相談するのだが、おまえは、わしが所司代となっても、市尹しいんおさ〉たるわしのすることには、一切口出ししないと誓うなら、任官しようと思うが
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)