差合さしあい)” の例文
楽章としての運動の変化を求めるために打ち越しが顧慮されきら差合さしあいの法式が定められ、人情の句の継続が戒められる。
俳諧の本質的概論 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
お職人衆というものは何事でも綺麗さっぱりいたしたもので、思ったことを腹へしまっておくなんかてえことは出来ません。お名にお差合さしあいがあったら御免を頂きますが
あんまり生意気だから一番ひとつおどしてやろうと思って、私があすこに隠れていたがね、男がやると差合さしあいだ、ちょうど可いからお前に頼む、ね、幽霊にならないか。愉快おもしろいよ。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ところが、ちょうど摂政宮殿下の行啓ぎょうけい差合さしあいになるので、急に模様換えになって、そのまま北へ北へと直航することとなった。その十二日は全く薄らさみしい日であった。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
「それはそうと、ぜんてえどうしたというのだ、千賀春というあばずれのことは、部屋でよく聞いて知っているが、おれにゃア、藤波なんぞからくやみを言われるような差合さしあいはねえのだが……」
顎十郎捕物帳:06 三人目 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
婆「一寸水司はん、生憎今日も差合さしあいがあって」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)