巨摩こま)” の例文
実際私は昨年十月二十四日に山梨県北巨摩こま郡穂坂村の疎開先きから帰宅した。以来何んだか新世界へ生まれて来たような気持ちである。
叔父の手記によれば、みどう家は、巨摩こま郡ぜんたいの土着民から、(ひそかに)領主のような、尊敬を受けているそうである。
山彦乙女 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
然らば甲斐の何処に居を占めていたのであろうか、高麗人が居た為に地名となった巨摩こま郡はあるが、百済人が居た為に地名となった百済郡というのがない。
マル及ムレについて (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
梅の木の落葉の庭ゆ垣越しに巨摩こまの群嶺に雲騷ぐ見ゆ
長塚節歌集:2 中 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
農商務省が全く巨摩こま郡に属する山を山梨郡の山として了ったのは、可笑しい間違いであるが、し『甲斐国志』西沢御林山の文にって、国師岳の西に奥仙丈の名に相当すき山をもとめたならば
秩父の奥山 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
大弐は展墓のため、甲斐の国巨摩こま郡篠原村の故郷へ帰るのだった。
夜明けの辻 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)