巧者じやうず)” の例文
すこぶるの淡白者きさくもので、上方弁の滑かな、話巧者じやうずの、何日いつ見てもお愛想が好いところから、間もなく村中の人の気に入つて了つた。それがすなはち源助さんであつた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
批評も小説も新躰詩も何でも巧者じやうずで某新聞に文芸欄を担任する荒尾あらを角也かくなり耶蘇教やそけうの坊さんだとかいふアーメン臭い神野かみの霜兵衛しもべゑ、京都の公卿伯爵の公達きんだち鍋小路なべこうぢ行平ゆきひら——斯ういふ人達だよ
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
加之のみならず何事にも器用な人で、割烹れうりの心得もあれば、植木いじりも好き、義太夫と接木つぎき巧者じやうずで、或時は白井様の子供衆のために、大奉だいほう八枚張の大紙鳶おほたこを拵へた事もあつた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)