岩乗がんじょう)” の例文
旧字:岩乘
厳しい荷梱にごり岩乗がんじょうな箱を結いつけて——駅路の鈴も物々しく、蜿蜒えんえんたる人馬の列をして、この大商隊は、都入りするのだった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
入口のドアに走り寄って、鉄かと思われるほど岩乗がんじょうな、青塗の板の平面に、全力を挙げて衝突ぶつかってみた。暗い鍵穴を覗いてみた。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
平次はそう言いながら、一と通り死体をしらべましたが、四十五六の岩乗がんじょうな男で、女や子供に縛られそうな柄ではありません。
伸子は、岩乗がんじょうな、無愛想な、自分の力では押すも引くもできない崖に、左右から挾み込まれたような困惑を感じた。
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
平次とガラッ八は、縁側へ出ると、戸袋の後ろに取付けた段々を幾つか昇って、思いの外岩乗がんじょうな物干に出ました。
やはり岩乗がんじょうな鉄の寝台が一個、入口の方向を枕にして横たえてあるが、その上の真白な寝具が、キチンと敷きならべたままになっているところを見ると、まだ誰も寝たことがないらしい。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
駕籠を飛越して路地の闇に入ると、鼻の先に通せん坊をしたのは恐ろしく岩乗がんじょうな木戸。
駕籠を飛越して路地の闇に入ると、鼻の先に通せん坊をしたのは恐ろしく岩乗がんじょうな木戸。