山水やまみず)” の例文
秋子は見届けしからば御免と山水やまみずと申す長者のもとへ一応の照会もなく引き取られしより俊雄は瓦斯がすを離れた風船乗り天を仰いで吹っかける冷酒ひやざけ五臓六腑へ浸み渡りたり
かくれんぼ (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
船の中の狂乱は、一瞬ごとにその旋回度を増して、山水やまみずに空廻りする水車みずぐるまのような勢い。
「上人のお心づけじゃ、そのあたりに、山水やまみずの流るるみぞがある、気をつけてゆけよ」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
きらきらする白い金盥かなだらいが四つほど並んでいる中へ、ニッケルのせんの口から流れる山水やまみずだか清水しみずだか、絶えずざあざあ落ちるので、金盥は四つが四つともいっぱいになっているばかりか
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
山水やまみず剣呑けんのんでございます、水車小屋は浮き出しそうでございます、あらくの材木はあらかたツン流されてしまいました、今にも山水がドーッと出たら大変なことになりそうでございます、誰も今夜は
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)