屡次しばしば)” の例文
で、この風俗は、江戸芸者にばかりではなく、一般に行われたことは、その頃の浮世絵なり、絵本草双紙の類に屡次しばしば見るところだ。
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)
文団治は高座から、おれの話が今時の客にわかるものかといって、客と屡次しばしば喧嘩をして、話を途中でやめて引下った事を私は覚えているので、この入墨を見た時、なるほどと思った。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
しかもそれらに対して高価な支払をなしたをかこつこと、吾儕の屡次しばしば耳にするところで、旁徒なる懼れに遠かれる都にも、夏にかかる逸楽のあるをお知らせしておきたい。
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)
それから、明治の始めには、ある毛唐けとうがあの亀を売ってくれといって来たという話も屡次しばしばしていた。その時あの亀の目玉にはダイヤモンドがちりばめてあるのだという風評が立った。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
されば創傷唇のあれに寒べに附けたるを見る如く、夏の手料理にこの色ざしを好み、手足の爪に丑べにをさすこと、今も年よりの心する家の子供には、屡次しばしばこれを見ることである。
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)
私はモデルに寝たポーズをさせる時屡次しばしばその足の裏を見るが、どうも黒く汚れていたりして海士あまの形相を打ち消してくれそうなものに出会わない、その上太い足の指がお互いに開いていて
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)