居合腰いあいごし)” の例文
物に拘泥こうでいしない、思索ということをしない、純血な人間に出来るだけの受用をする。いつも何か事あれかしと、居合腰いあいごしをしているのである。
膝をつめよせると、手になたがふれた。けれど林助は、鉈のはにぎらなかった。からだの構えが自然、居合腰いあいごしになるため、鉈では用をなさないのである。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
血相をかえた丹波、右手を大刀のつかにかけて、居合腰いあいごしで、部屋の外の小廊下に立っているではないか。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
鉄砲を持って来られては何分なにぶん逃げる訳にもゆかんから、關兼元せきかねもと無名擦むめいすりあげの銘剣のつかへ手を掛け、居合腰いあいごしになって待って居りましたが、これはうしても喧嘩にはなりません。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
印籠鞘の浪士は居合腰いあいごしになって刀をひねったのである。
と私も居合腰いあいごしをして声を掛けた。
逗子物語 (新字新仮名) / 橘外男(著)