居処きょしょ)” の例文
旧字:居處
失ふ。在家学道のものなほ財宝にまとはり、居処きょしょをむさぼり、眷属けんぞくに交はれば、たとひその志ありと云へども、障道の因縁いんねん多し。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
されば今より後は日本国中の人民に、生まれながらその身につきたる位などと申すはまずなき姿にて、ただその人の才徳とその居処きょしょとによりて位もあるものなり。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
彼はせっぱつまって思い悩んだ揚句あげく、全く浮世を棄てて神仏にすがり四国遍路を思立った。しかるに、居処きょしょ不定ふじょうの身となり霊場をめぐっているうちに、片方の眼が少しずつ見えるようになって来た。
遍路 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
勿論もちろんどれがもとでどれが第二次の転訛てんかとも決し得ないが、エンナカは家の中とも居処きょしょとも解せられ、ヘンナカは火からの影響を受けたもの、エレンナカはかえってヰロリとの妥協とも見られる。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)