小龕せうがん)” の例文
われは車を下りて、些の稍事せうじを買はゞやと酒店の中に入りぬ。店の前には狹き廊ありて、小龕せうがんに聖母をいつきまつり、さゝやかなる燈を懸けたり。
人も知る如く、稻荷社の背面には、高い床下に特別な小龕せうがんを造られてある。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
向ひの家の壁には、小龕せうがんをしつらひて、それに聖母の像を据ゑ、その前にはいつも燈を燃やしたり。「アヱ、マリア」の鐘鳴るころ、われは近隣の子供と像の前にひざまづきて歌ひき。
人も知る如く、稲荷社の背面には、高い床下に特別な小龕せうがんが造られてある。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
髑髏は髑髏と接して壁を成し、壁はその並びざまにて許多あまた小龕せうがんに分れたり。おほいなる龕には頭のみならで、胴をも手足をも具へたる骨あり。こは高位の僧のみまかりたるなり。