小費こづかい)” の例文
町方役まちかたとか、牢役人などが、袖の下を取るのはおおびらだが——それにしても、牢番なんて下ッまでが小費こづかいをせびりに来るのかなあ』
魚紋 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうだ、梅賀ばいがの家へ行って、お袖の小費こづかいをゆたぶッてやろう。市の字を連れて来てやるといやあ、質をおいても、三両や五両は——」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼女は、横浜ハンケチ女の中での孔雀くじゃくだった。月々、ここの李鴻章から多大な小費こづかい金をもらっているというのは、うそであると、トム公はいつも人にも言う。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「貴様に会ってはかなわんな、実をいえば小費こづかいが乏しいからだよ、貧乏武芸者だ。そう悪く申すな」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「しぶとい阿女あまめが」平次郎は、猜疑さいぎおにになっていた。妻のやさしい情けも、苦役してかせ小費こづかいも、みなその和介にむすびつけて日ごろから邪推していたものである。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「病人ではございませんが、生来、私の母の大好物は茶でございます。貧乏なので、めったに買ってやることもできませんが、一両年かせいでためた小費こづかいもあるので、こんどの旅の土産には、買って戻ろうと考えたものですから」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「その間の、お小費こづかい
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)