小衝こづ)” の例文
なぜ胸を小衝こづかれたような心もちになるか、そして又なぜに自分の視覚がその咄嗟とっさの間にどぎまぎして、いままで眺めていたものを打棄うっちゃって
幻影の都市 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
後から後からわたしを小衝こづいてくるもの、ギシギシギシギシ動いてゆくものに押されているうち、わたしの硬かった足のうらがふわふわと柔かくなっていた。
鎮魂歌 (新字新仮名) / 原民喜(著)
目鋭めざとい叔父は直にそれて取つて、一寸右のひぢで丑松を小衝こづいて見た。奈何して丑松も平気で居られよう。叔父の肘がさはるか触らないに、其暗号は電気エレキのやうに通じた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
しゅうとめや隣組やあによめや兄たちに小衝こづかれてゆくうちに、多少ものの裏表もわかって来た。
壊滅の序曲 (新字新仮名) / 原民喜(著)
友は彼の肩を小衝こづいて笑った。と、彼も力なく笑いかえした。彼は遠いところに、ひそかな祈りを感じながら、透明な一つの骨壺を抱えているような気持で、青ざめた空気のなかに立ちどまっていた。
死のなかの風景 (新字新仮名) / 原民喜(著)