小栗栖おぐるす)” の例文
さればこそ光秀は、この日から十一日目の後、小栗栖おぐるすの山村で、土民の竹槍をうけ、死なんとするや、部下の者に、筆をとらせ
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
光秀は、一旦勝竜寺城に入り、夜の十二時頃に桂川を渡り深草から小栗栖おぐるすにかかって、土民の手にかかった。
山崎合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
十一月二日、明治座の初日、わが作『小栗栖おぐるすの長兵衛』を上場するに付、午頃より見物にゆく。
ひとり明智光秀が小栗栖おぐるす長兵衛に痛い目を見せられたばかりでは無い。斯様いうように民衆も中々手強くなっているのだから、不人望の資産家などの危険は勿論の事想察に余りある。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
秀吉の問いをうけると、小栗栖おぐるす村の長兵衛は、待っていたように幾つも頭を下げて、百姓に似げない弁舌で答えた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ザザザザと、まるでましらの群れか、木の葉の雨のような音が、一瞬、小栗栖おぐるす夜半よわのしじまを破った。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小栗栖おぐるすの百姓、長兵衛という者が、日向守の首級を、醍醐辺だいごへんくろで見つけたと申して、ただ今、それを持参のうえ、訴えて参りました。——この儀、君前までお取り次ぎを」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「初めに、小栗栖おぐるすの里で百姓たちに討たれた光秀どののさらし首が、一夜、何者かに盗み去られました。また幾日かおいて、明智衆の老将、斎藤内蔵助利三としみつどののさらし首がまたくなった。京の騒ぎはえらかったですよ。はははは」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)