小柄杓こびしゃく)” の例文
間もなく、彼が雪隠せっちんから出てくると、なおべつの一名は、小柄杓こびしゃくに水をたたえて待ち、傍らに寄り添うて、秀吉の手へ水をかけた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
冷水れいすいをたたえた手桶ておけ小柄杓こびしゃく、それに、あせどめの白布はくふをそえてはこんできた若い武士ぶしがある。一同にその使用をすすめたのち
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「こんな所へ落したのか……」と、お綱は一目に思ったが、もとよりそれを拾う気はなく、小柄杓こびしゃくを持ってもう一度、水を掬いに戻りかけた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小柄杓こびしゃくの水を、サラサラとやいばにながして、そのしずくのしたたるッさきを、まず、右のはしにいた者の目の前につきつけて
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御手洗みたらしに張った薄氷うすごおりを割って、小柄杓こびしゃくに水をすくったのである。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)