小姑こじゅうとめ)” の例文
「そんなに悪くはございません、——お松さんはあの通りで、世間の小姑こじゅうとめとは気風が違いますから」
大人しいようでその実いつまでも打ち解けてくれない雪子と云うものが一番気心の分らない扱いにくい小姑こじゅうとめなので、こんな機会に彼女の機嫌きげんを取りたかったこともあろう。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
怨望えんぼう満野まんや、建白の門はいちの如く、新聞紙の面は裏店うらだなの井戸端の如く、そのわずらわしきやくが如く、その面倒なるや刺すが如く、あたかも無数の小姑こじゅうとめが一人の家嫂よめくるしむるに異ならず。
学者安心論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
第一、小姑こじゅうとめ先生二十人ほどは全部引退してもらう。第二、県当局、父兄、新聞社など、強力に陳情し、説得するが、決して暴力には訴えない。第三、試験は絶対に受ける。
胡堂百話 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
それとも小姑こじゅうとめに勤める癖が今も残っていて、特別に大切にしてくれるのであろうか。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
政談家はさまざまの事に口を出し、さまざまの理屈を述べて政府の働をたくましゅうせしめずと。学者はなおもこの政府に直接してくが如く刺すが如く、かの小姑こじゅうとめを学びて家嫂かそうわずらわさんと欲するか。
学者安心論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
小姑こじゅうとめのお松も、弟の吉三郎も、下女のお越も、番頭の総助も、猿屋町の粉屋のお光も、小唄の師匠のお角も、ことごとく殺すだけの動機と機会とを持っているわけですが、疑わないとなれば
若い時分から幸子以下の小姑こじゅうとめたちに意地められつけて来たので、蔭でこそ強硬な意見を吐くけれども、面と向っては腰が弱く、少し此方が強く押せば折れてしまうと云う風であるから
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)