小刀こづか)” の例文
そちをそねみ憎しむ者が、こうがいが失せたといっては猿が盗んだといい、小刀こづか印籠いんろうが紛失したと申しては、猿の仕業しわざよと、つげ口の絶え間がない。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——騒ぐのはおよしなさい。わたしの側には手頃な小刀こづかがありますからね、じたばたするとてのひらを窓板へ、うなぎの首をめるように、プツンと縫ってしまいますよ……」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その元の切り口は、はさみったのでもないし、小刀こづかとも思われない。幹は柔軟な芍薬のそれではあるが、やはり相当な腰のものを用いて切ってあるものと武蔵は見たのである。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)