密見みっけん)” の例文
こもりきッた黒煙が、お茶の水の抜け道へまできだした程であるから、お千絵様のいた密見みっけんは、あらかた、火になったものと思われる。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
密見みっけんにいる、お千絵とおたみとは、その音にハッと驚かされて、等しい目色を、思わず後ろの方へ射向けた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「アア、大変なことになった——」おたみは狂わしく駈け戻って、はやまってけた奥の火を消そうとした。けれど、密見みっけん反古ほごと油は、もう消し伏せもならぬほのおとなっている。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)