家厳いえとし)” の例文
父の家厳いえとしを初め、城中の者が、こぞって案じていた一つの推定は、その日のうまの刻になって、不幸にも、適中していたことが知れた。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わしは、女ではないっ。病人などでもないっ。——柳生家厳いえとしの嫡男、新介宗厳むねとしなのだ。はや首を打てっ。首を打て!」
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家厳いえとしは落涙がとまらなかった。玉砕ぎょくさいいさぎよしとして主張していた一徹な愚かさを、日ごろ病弱あつかいにしていた子から訓えられて、背に百杖を下された心地に打たれた。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)