宮方みやかた)” の例文
「すでに兄上こそ、以前ここへお訪ねあった日野朝臣などと、密々、宮方みやかた加担かたんめいをむすんでおられたのでございましょうが」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昨日の宮方みやかたは今日の武家方ぶけがたとなり、今日の武家方は明日の宮方となるといふやうに、動揺常なく、遂に足利氏をして野心を遂げしむるに至つたのである。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
夜分の外出は差し留められる事、宮方みやかたへ行き合う節は路傍に控えおるべき事、堂上あるいは諸侯へ行き合う節は双方道の半ばを譲って通行すべき事のたぐいだ。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
宮方みやかたのお役人も、よく話がわかるものですから、直ぐに許してくれます。一旦、木を伐ってずいぶん売って儲けましたが、そこが都合が悪いので、今度は少し遠くなりますがこっちの方へ廻しました。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「——実は、このたび自分が東国へ下って来たのは、わたくし事ではなく、宮方みやかた令旨りょうじをおびて、諸州の武人がどんな考えでおるか、ひそかに東国の動向をただしに来たわけでおざる」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ナニ、宮方みやかたの役人が……宮方の役人とは寺社奉行のことか。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)