嬰児ちのみ)” の例文
旧字:嬰兒
灯をつけるももどかしく、良人おっとの膳を、と思うにつけて、自分の気の弱いのが口惜くやしかったけれども、目をねむって、やがて嬰児ちのみを襟に包んだ胸をふくらかに、膳を据えた。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
女房はしきりに心急こころせいて、納戸に並んだ台所口に片膝つきつつ、飯櫃めしびつを引寄せて、及腰およびごし手桶ておけから水を結び、効々かいがいしゅう、嬰児ちのみかいなに抱いたまま、手許もうわの空で覚束おぼつかなく、三ツばかり握飯にぎりめし
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)