嫉刃ねたば)” の例文
おかわいそうに、五雲様は眠白様の嫉刃ねたばにお会いなさいまして、画工には何よりもたいせつな右の腕を切りとられたのでござります。
大きな岩の塊を虚空に投げ上げている、高さを競って嫉刃ねたばでも合せているように、岩が鋭い歯を剥き出して、水光りに光っている。
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
このおめずおくせざる少年の刀が、のあたりでしきりに鞘走っている気勢を見て、斬られている一方のあわただしいのを見ると、どうしても二人の間に、何か嫉刃ねたばの合わされるものがあって、とど
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
とうとう眠白様の嫉刃ねたばが三倍にも八倍にも強まったのでござりましょう。
表面角突合つのつきあいをしたという噂も聞かないが、内心いかように、嫉刃ねたばいでいたかを考えると、いまに帰ったら、ひとつあの女をとっつかまえて、あの女が、わが実の母を、どう解釈しているか
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
だから、おこぼれさえもちょうだいできねえというんで、ええくやしい、腹がたつ、憎いはこの地蔵とばかり、たちまち女の一念嫉刃ねたばに凝って、こんなよからぬわるさをしたにちげえねえですよ。