如何)” の例文
人の命などが何のために如何うしてあるのか無茶苦茶に成って仕舞った時も有ったけれ共、大海の底の水は小揺ぎもしない様に
お久美さんと其の周囲 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
私の熱情はその間を如何う調和すべきかを知りませんでした。而して悩みました。その頃の聖書は如何に強烈な権威を以て私を感動させましたろう。
『聖書』の権威 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
私を如何んな母親だと思つてるんです。そんな食ふや食はずでゐてお前見識が保てますか。
ウォーレン夫人とその娘 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
ガレッジの二階で臥床していたが、肺と知って雇主も困り、家に知らせたら如何や。待っていましたとばかり雇主の言葉を口実にお君に手紙を書いた。不甲斐ない人間と笑って下さい。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
純粋に云って、詩と云うもののカテゴリーに入るか、如何うか、兎に角私にとっては、斯様な形式で書く唯一のものだ——私の詩と云える。
五月の空 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
如何や一丁遊んで行こうか、こゝは飛田びた一のうちやで。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
が、母上は、我々の突然な結婚によって受けた苦痛、恥辱の感、それを如何うして償うかと云うことを根拠として、強く、彼女の意見に執されるのだ。
小さき家の生活 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
きっと寂しい眼付をして窓の外を眺め、髪を結いかけていた肱を一寸落さなかったと如何うして云える?
或る日 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
自分が如何う云う内的の動機で書いたか、説明は耳では聞かれる。が、心に些も入らない。
二つの家を繋ぐ回想 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
如何うだ此の光る金色を見て羨しくないかハハハ其にお前なんかは蟋蟀こおろぎほどの音も出せないじゃあないか、まあまあ俺の見事な声を聞いてから目を廻さない要心をしているが好い
一粒の粟 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
星をぼんやり夜の空に見上げるのも興あることだが、星座の名と位置を一旦知ると、知らずに如何うして今迄平気で居られたかを思わずに居られない新たな歓びを覚えるだろう。
幻滅を感じるが如何うにかして新生活を開拓しようと努めた跡が、ありありと見える。
蠹魚 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
太古の猶太ユダヤ人は、何の為に、如何う云う心の苦しみから、彼程熱く神を叫んだのか。
無題 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
如何うしたい、キス、猫は椅子を足場にして窓枠にのった。鼻翼を動かして青草をかいで居たが、やがて躊躇なくその若芽を食べ初めた。おどろいて追った。自分はただ悪戯をしたのだと思った。