奪取うばいと)” の例文
日曜日に物見遊山ゆさんに出掛け汽車の中の空席を奪取うばいとろうがためには、プラットフㇹームから女子供を突落す事を辞さないのも、こういう人達である。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
左様そんな事と存じませんのは、親に似ません娘のおいさで、十二歳の時に清水助右衞門が三千円持って来た時、親父おやじが助右衞門を殺して其の金を奪取うばいと
論に勝っても鼎を取られては詰らぬと気のついた廷珸は、スキを見て鼎を奪取うばいとろうとしたが、耳をしっかり持っていたのだったから、うまくは奪えなかった。耳は折れる、鼎は地にちる。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
奪取うばいとった三千円の金から身代を仕出し、たいしたものになりましたのに引替え、助右衞門のせがれ重二郎は人力をいて漸々よう/\其の日/\を送る身の上となりましたから