太虚たいきょ)” の例文
おそらく見えまいが、じいっと、眸をこらしているうちに、自然、太虚たいきょのうちにも、うッすらと見えて来る。城の影が、敵の気はいが……
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そういう太虚たいきょの状態から、人はたぶん色々の自分の心を組み立て得、意志し得る状態であったと思う。私は然し堕ちて行く快感をふと選びそしてそれに身をまかせた。
いずこへ (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
枇杷びわの木に夏の日永き田舎かな 太虚たいきょ
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
味はうすきこと太虚たいきょに似たり
貝鍋の歌 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
あたかもいにしえの聖賢のごとく、心は太虚たいきょに似、身は天地の寵児ちょうじのごとき気持だった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おそるべきその羽風はかぜ! ただ、目にながめたところでは、それはいかにもゆるやかで、いずみをおよぐうおのかげみたいに、あおい太虚たいきょをしずかにいめぐっているとしか見えないのだが、サア——ッと
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まだ、三毒四曼さんどくしまん太虚たいきょ
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)