大詰おほづめ)” の例文
吾人はこの第三幕が、単に中間の一揷画たりや、はた大詰おほづめの幕たるやを知らず。また今にして早くそを知らむとする程小成の満足に齷齪あくせくたるものに非ざる也。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「あ、その事は、あの大詰おほづめの幕へ顏を出さないのが、お小夜とお冬の菓子を入れ替へた曲者さ」
その次は伏見ふしみの宿屋と大詰おほづめの仇討……。それで十段物がとゞこほりなくまとまるのだ。
近松半二の死 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
聽いたときあつしはさう思ひましたよ、『ハハア、親分はもう、大詰おほづめへ來てゐるんだな——』と
「サア、いよ/\大詰おほづめでございます。とつさんも一緒に來るが宜い」
「親分、こいつはもう大詰おほづめぢやありませんか」