大祖たいそ)” の例文
まだ四歳よっつか五つくらいな時分。故郷くに大和やまと柳生の庄の祖父君おじぎみ——門流の人々はそれを、大祖たいそといってあがめている——石舟斎宗厳むねよしから、杖をもって、あしらわれあしらわれ
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
美妙が大祖たいそと称するところの、八十五歳の養祖母おます婆さんは、木乃伊ミイラのごとき体から三途さんずの川の脱衣婆おばあさんのような眼を光らせて、しゅうとめおよしお婆さんの頭越しに錦子をにらめつけた。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)