大根畑だいこんばたけ)” の例文
「へエ、大根畑だいこんばたけ(本郷新花町)に世帶を持つて居ましたが、亭主の文七がやくざで三年前に別れて了ひました」
切通しの坂をのぼりきッた所で、このあたり根生院こんじょういんの森と棟梁とうりょう屋敷の黒塀くろべいを見るほか、明りらしいものは、湯島新地ゆしましんち大根畑だいこんばたけの中にチラホラする隠し売女ばいじょの何軒かが数えられるに過ぎません。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから麦畑をぐるぐる廻る、かぎの手に大根畑だいこんばたけを走り抜ける、蜜柑山みかんやまをまっすぐりる、——とうとうしまいにはいもの穴の中へ大男の半之丞を振り落したまま、どこかへ行ってしまいました。
温泉だより (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)