外門げもん)” の例文
で、外門げもんを守護していた滝口の衛士とのあいだに、一ト争い起ったが、彼らの甲冑かっちゅうの前には、ひとたまりもない。数名は討死し、あとはどっと逃げ争う。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上を行く煙は刻々と黒さを増し、一報の聞えるたび、悲痛な揺れが、外門げもんから内門を押し返していた。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
里内裏さとだいりとはいえ、地域は広大だ。一ときの、御座所のあたりは言語に絶する騒ぎだったが、しかし中門の外、まして外門げもんの遠くへなどは、この夜のこと、何一つ響いてはいない。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宮への一書をあずかって、ほどなく彼は外門げもんを出て来た。——と、その姿を待ちわびていたらしい中年の一武者があり、正成はその者に呼ばれると、何やらはっとべつな顔をした。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
道誉もそれにならって外門げもんの礼だけですぐ立った。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)