壁蝨だに)” の例文
実に黒河内の使嗾しそうによる者で、主立つ者は二人——一人はT市の壁蝨だにというべき、有名なる無頼漢『深夜の市長』と、もう一人は愕くなかれ現職の司法官浅間新十郎という悪役人だッ
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
頭はぞっとするような吹出物と瘡蓋クルートに蔽われ、指の股には壁蝨だにが食いこみ、腹のあたりにわずかに纒いついている衣服の名残には、虱と南京虫が布目も見えぬほどに這いまわっていた。
カストリ侯実録 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
蛇には壁蝨だにが一面に取りついていた。
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
吸いこんだ壁蝨だにのように真中からふくれて来る
赤耀館事件の真相 (新字新仮名) / 海野十三(著)