塩鮭しほびき)” の例文
旧字:鹽鮭
『瀬川さん。そんなら準備したくして御出おいでなすつて下さい。今直に御飯にいたしますから。これから御出掛なさるといふのに、生憎あいにく何にも無くて御気の毒ですねえ——塩鮭しほびきでも焼いて上げませうか。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
餅を搗いても、団子を拵へても、五目鮨ごもくずしを炊いても、母は必ず叔父の家へ分けて遣る事を忘れない。或時は裏畑から採れた瓜や茄子を持つて行つた。或時は塩鮭しほびきの切身を古新聞に包んで持つて行つた。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)