塩辛声しおからごえ)” の例文
旧字:鹽辛聲
と、その細い、かすかな、空を通るかと思う雨の中に、図太い、底力そこぢからのある、そして、さびのついた塩辛声しおからごえを、腹の底から押出おしだして
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのさざめきの間に、潮でび切った老船頭の幅の広い塩辛声しおからごえが高くこう響く。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
急に野次馬の方へ向いて精いっぱいの塩辛声しおからごえを張上げます。
大手前おおてまえ土塀どべいすみに、足代板あじろいたの高座に乗った、さいもん語りのデロレン坊主、但し長い頭髪かみのけひたい振分ふりわけ、ごろごろとしゃくを鳴らしつつ、塩辛声しおからごえして
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と例の塩辛声しおからごえでややふきげんらしくいった。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)