場内ぢやうない)” の例文
たいくつした見物人の話声が一時いちじんで、場内ぢやうないは夜の明けたやうな一種の明るさと一種の活気くわつきへた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
長吉ちやうきちはこの種の音楽にはいつも興味をもつて聞きれてゐるので、場内ぢやうない何処どこかで泣き出す赤児あかごの声とれを叱咤しつたする見物人の声にさまたげられながら、しかあきらかに語る文句と三味線しやみせんの手までをき分ける。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)