堪忍がまん)” の例文
鉄に謝罪るわけはないが親方の一言に堪忍がまんして私も謝罪りに行きましたが、それからおつなものでいつとなく鉄とは仲好しになり
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
一本気で我執のかなり強そうだったお須磨さんは、努力の人で、あのおしきる力は極端に激しく、生死のどっちかに片附けなければ堪忍がまんできないに違いない。
松井須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
むげに云い消されたが忌々いまいましくて忌々しくて随分堪忍がまんもしかねたが、さていよいよ了見をめて上人様のお眼にかかり所存を申し上げて見れば
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
二三杯かつこんで直と仕事に走りやれ走りやれ、ホヽ睡くても昨夜をおもへば堪忍がまんの成らうに精を惜むな辛防せよ、よいは弁当も松に持たせて遣るは
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
二三杯かっこんですぐと仕事に走りゃれ走りゃれ、ホホねむくても昨夜ゆうべをおもえば堪忍がまんのなろうに精を惜しむな辛防しんぼうせよ、よいは弁当も松に持たせてやるわ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ひとの怖いことは一厘無いが強いばかりが男児をとこでは無いなあ、ハヽヽ、じつと堪忍がまんして無理に弱くなるのも男児だ、嗚呼立派な男児だ、五重塔は名誉の工事しごと
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
汝のために相談をかけてやりしも勝手の意地張り、大体たいていならぬものとても堪忍がまんなるべきところならぬを、よく/\汝を最惜いとしがればぞ踏み耐へたるとも知らざる歟
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)