埋没うづも)” の例文
旧字:埋沒
学校から帰へつて、蓮華寺の二階へ上つた時も、風呂敷包をそこへ投出はふりだす、羽織袴を脱捨てる、直に丑松は畳の上に倒れて、放肆ほしいまゝな絶望に埋没うづもれるの外は無かつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
毎年まいとし降る大雪が到頭たうとうやつて来た。町々の人家も往来もすべて白く埋没うづもれて了つた。昨夜一晩のうちに四尺あまりも降積るといふ勢で、急に飯山は北国の冬らしい光景ありさまと変つたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
高社、風原、中の沢、其他越後境へ連る多くの山々は言ふも更なり、対岸にある村落ともりこずゑとすら雪に埋没うづもれて、かすかに鶏の鳴きかはす声が聞える。千曲川は寂しく其間を流れるのであつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)