はずれ)” の例文
S——町のはずれを流れている川をさかのぼって、重なり合った幾箇いくつかの山裾やますそ辿たどって行くと、じきにその温泉場の白壁やむねが目についた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
透かしてると、そのはずれに春光館と白く染めぬいた赤い旗が、目についたので、庸三はどうせ無駄だとは思ったが行って見た。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
奥深い母屋おもやはずれにある笹村の部屋は、垣根を乗り越すと、そこがすぐ離房はなれと向い合って机の据えてある窓であった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
はずれの部屋へ来ている、気楽な田舎の隠居らしい夫婦ものの老人としよりの部屋から碁石の音や、唐金からかねの火鉢の縁にあたる煙管の音が、しょっちゅう洩れて来たが
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)