地誌略ちしりゃく)” の例文
板戸一つがぐ町の、店の八畳、古畳の真中に机を置いて対向さしむかいに、洋燈ランプに額を突合つきあわせた、友達と二人で、その国の地誌略ちしりゃくと云う、学校の教科書を読んでいた。
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なまけものの節季せっきばたらきとか言って、試験の支度したくに、徹夜で勉強をして、ある地誌略ちしりゃくを読んでいました。——白山はくさんは北陸道第一の高山にして、郡の東南隅とうなんぐうひいで、越前えちぜん美濃みの飛騨ひだまたがる。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)