地口行燈じぐちあんどん)” の例文
新字:地口行灯
H温泉旅館の前庭の丸い芝生しばふの植え込みをめぐって電燈入りの地口行燈じぐちあんどんがともり、それを取り巻いて踊りの輪がめぐるのである。
沓掛より (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
やぼねの下に流るる道は、細き水銀の川のごとく、柱の黒い家のさま、あたかもかわうそ祭礼まつりをして、白張しらはり地口行燈じぐちあんどんを掛連ねた、鉄橋を渡るようである。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、庄七は、喰べのこしのうどんをあわてて、すすりこんだが、ふと、初午祭りの地口行燈じぐちあんどん
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「決して悪く云ったのじゃない。……これで地口行燈じぐちあんどんが五つ六つあってごらん。——横露地の初午はつうまじゃないか。お祭のようだと祝ったんだよ。」
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
地口行燈じぐちあんどんがあちこちに昼の影を浮かせて、飴屋あめや、おでん屋の出たのが、再び、気のせいか、談話中の市場を髣髴ほうふつした。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)