土室どま)” の例文
お杉はさもしゃくにさわると云うようにしてって往った。そこは土室どまに臨んで三畳の畳を敷き、音蔵が手内職の袋張ふくろはりの台を一方の隅へ置いてあった。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
……もう九時になったか、と、時計の方へやった眼をまた入口の方へやった。青いかあてんだるそうに垂れて、土室どまの中に漂うた酒と煙草のにおいを吸うていた。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
広巳は肆の者には眼もやらないで、肆の左側の通りぬけになった土室どまを通って往った。そこに腰高障子が入っていて、その敷居をまたぐと庖厨かってであった。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
広巳は母屋おもや庖厨かってへ入って往った。庖厨の土室どまには年とったじょちゅうたけのこの皮をいていた。広巳は庖厨にってあちらこちらを見た。それは何かを探し求めている眼であった。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
行燈あんどんのような微暗うすぐらい燈のある土室どまの隅から老人がひょいと顔を見せた。
おいてけ堀 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)