国風こくふう)” の例文
旧字:國風
これは我が国風こくふうでもあり、第一には武士道の感化でもあろうが、それだけに我がかたき討なるものが甚だ単調になるのはむを得ない。
かたき討雑感 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「皆私の失策しくじりですよ。その次第わけは後刻ゆっくり申上げますが、要するに伊賀の国風こくふうが悪いのですな」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
薄暗い座敷牢の中で、忠寛の仕事は空想の戦を紙の上に描くことで有った。さもなければ、何か書いてみることであった。忠寛は最後まで国風こくふうの歌に心を寄せていた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
千秋は、自作の国風こくふうを朗詠し、風流な十内も、近ごろ覚えたという上方唄かみがたうたなどを歌った。
思うさま良人おっとにかしずくことのままならぬをひそかにかこてるおりおりは、かつてわが国風こくふうわずと思いし継母が得意の親子しんし別居論のあるいは真理にあらざるやを疑うこともありしが
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)