困窮こんきゅう)” の例文
わたしはむかししたように、かれのつめたい鼻にキッスした。するうち、子どもの時代の困窮こんきゅうが思い出して、ふとある考えがうかんだ。
その平生へいぜい涵養かんよう停蓄ていちくする所の智識と精神とにるべきは勿論もちろんなれども、妾らを以てこれを考うれば、むしろ飢寒きかん困窮こんきゅうのその身をおそうなく、艱難辛苦かんなんしんくのその心を痛むるなく
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
まだ光春が弥平次やへいじといっていた幼い頃からほとんどひとつ家に育ち、それからの久しい困窮こんきゅうも、戦場の艱苦も、家庭の中の楽しみも、共にして来た上の従兄弟でもあったから、長じて後
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
単于ぜんうは栄華をに極度の困窮こんきゅうの中から蘇武をろうと試みる。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)