喘鳴ぜんめい)” の例文
突然に喘鳴ぜんめいが聞こえ初めたと思うと、老先生は如何にも立腹されたらしく、仰臥して眼を閉じたまま眉根を寄せて不快そうにあかだらけの頭を左右に動かされた。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
だが呻き声はますます切迫し、いまにも息が絶えるかと思うように、激しい呼吸と喘鳴ぜんめいをともないだした。夫人は恐怖のために戸口へ進み、半ば夢中で引戸をあけた。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
そして身のまわりの風声と濤音と泡立ちと喘鳴ぜんめいとのうちに、彼は胡桃の老木のざわざわ鳴りきしむ音と、庭戸のぎいぎい言う響きとが、聞こえるように思った。……だんだん闇が濃くなって来た。
わが歌はわが胸の喘鳴ぜんめいをわれと聞きつゝよみにける歌
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
だが呻き声はますます切迫し、いまにも息が絶えるかと思うように、激しい呼吸と喘鳴ぜんめいをともないだした。夫人は恐怖のために戸口へ進み、半ば夢中で引戸をあけた。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ゴロゴロと喘鳴ぜんめいを起していたところから考え合わせるとあの時がモウ断末魔らしかったんだがね。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)