唐画とうが)” の例文
十畳のその居間は和洋折衷とも言いつべく、畳の上に緑色の絨氈じゅうたんを敷き、テーブルに椅子いす二三脚、床には唐画とうがの山水をかけたれど、楣間びかんには亡父通武みちたけの肖像をかかげ
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
けれど老成してござるからひじりといってもおかしくない。めしい最上のくらいなので、ころもに、検校帽子をかぶり、後ろに燕尾えんびを垂れて行くさまは、唐画とうがの人を見るようじゃったな
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
老人はこの模糊もこたる唐画とうがの古蹟にむかって、生き過ぎたと思うくらいに住み古した世の中を忘れてしまう。ある時は懸物かけものをじっと見つめながら、煙草たばこを吹かす。または御茶を飲む。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)