咲子さきこ)” の例文
彼女は不意に母に死なれて、手を延ばしてくれさえすれば誰にでも寄りついて行く、やっと九つになったばかりの、庸三の末の娘の咲子さきこひざにしていた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ほかの子供は平生の通り早く寝かされたあとに、咲子さきこという十三になる長女だけが起きて線香のそばを離れなかった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
咲子さきこは、御母さんわたしも明日あした御葬式に行きたいわと御仙にせびった。あたしもねと九つになる重子しげこが頼んだ。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)